僕には音声だけのメディア、ラジオの魅力も捨て難い。今でも寝る前にはいつもNHKの「ラジオ深夜便」を聴きながら寝る。この番組は根強いファンも多いがこの僕もそうだ。好きなコーナーは外国にいる日本人との電話インタビュー。その日、ロンドンやニューヨークで、日本関係のニュースで何が取り上げられていたか、現地からのリポートがあり、日本で大騒ぎしていることが外国では全く報道されていなかったり、逆に我々が余り意にも介さなかったニュースが大きく報道されていたりする。そのギャップが面白い。ラジオはテレビに比べ想像力をかき立ててくれる力があるようだ。ニュース報道にしても映像が無い分、アナウンサーがあくまで冷静で客観的事実のみを淡々と伝えられると、逆に想像力が働いて、ついつい「聞き入って」しまう。
ラジオの中でもFMはどうか…僕がFM放送に最初に接したのは。『ミュージックストリーム』である。学生の頃、あのテーマミュージックを耳にする度に、異国への憧れがフツフツと湧いてきたものだ。FMは何といっても音楽が主体である。車の中ではBGM替わりに流すことも多くなった。FMのお気に入り番組は毎週土曜日夕方の「SATURDAY WAITING BAR AVANTI」。聞き流しながらも、ついつい引き込まれてしまう番組だ。
思うに、我々の世代は『ながら族』のはしりではあったが、聞き流してはいなかったような気がする。オールナイトニッポンも(そういえば今のニッポン放送の亀淵社長もパーソナリティだった)大学受験講座も聞き入っていたのだ。
ラジオは情報を得るツールから、環境を快適にするツールに変身したように思う。『聞き入る』時代から、『聞き流す』時代になったということか。
そう言えば、僕も最近、都合の悪いことは、いつも聞き流している…